「子どもが小さいから無理」じゃなくて、「小さいからこそ一緒に見たい景色がある」――そんな思いで旅に出た。
大きな荷物にカメラ、そして子どもを背負子にのせて歩く。
タクシーに乗るくらいなら歩くし、バス代をケチって歩くこともある。
外食代が高ければ、妻が腕をふるってお弁当をつくる。
その絶品弁当を広げて、道端や公園でみんなで味わう時間も、旅の大切なひととき。
旅をしていると、子どもたちが普段とは違う表情を見せてくれる。
まったく英語を教えていなかったサクが、英語で話しかけてきたおばさんに勇気を出して「No thank you」と答えたとき。
その小さな声のひとことに、ぼくらは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
そしてハル。旅に出る前は、家ではなかなかご飯を食べなかったのに、旅の途中ではちゃんと口に運ぶようになった。
それどころか、自分でスプーンを握ってひとりで食べようとする姿まで見せてくれた。
その小さな成長が、旅をさらに特別なものにしてくれる。
小さな体で大きな世界に飛び込んでいく子どもたち。
その姿に、親のほうが勇気をもらうことも多い。
六大陸をめぐるこの冒険は、ぼくらにとって「夢」であり「挑戦」であり、
そしてなにより「家族の物語」そのもの。
そんな日々を写真とことばで綴っていきたいと思っている。



